うららかな日差し。
楽しそうな男女の笑い声。
周りには見る者を飽きさせないアトラクションの数々。
そう、ここは男女の憩いの場、一度は恋人と行ってみたいデートスポットの一つ ――遊園地―― である。
今回の元凶である男の後姿を眺めながら兇は眉間にしわを寄せていた
目の前の男 ――黒崎 光一(兇のクラスメート&悪友)―― は何を思ったのか日曜日の朝早くからクラスの女の子達を連れてこんな所に自分を呼び出したのだ。
いわゆる合同デートというのであろう・・・普通ならダブルデートとか言うのかもしれないが ――女の子5人に対し男は光一と兇の二人だけ―― 圧倒的に男の数が少ないので合同と言うのが一番ふさわしいだろう。
なんで俺がこんな所に、しかもこんな大勢の女の子達とデートしなきゃいけないんだ。
至極当然な疑問を先程から何度も一人で問答していた。
事の発端はこいつだ・・・。
兇は目の前の男をジト目で見据えた。
早朝一番、光一に急に呼び出されたと思ったら、挙句の果てには「女の子達とデートしようぜ」なんて言って来たのだ。
光一の事だからきっと自分を餌に使ったに違いない。
そう思ったらなんだか腹が立ってきた。
―――やっぱり帰ろう
そう思って目の前の男に声をかけようとしたその時。
「ねえ、ねえ、兇君、次はあれに乗ろうよ〜♥」
甘えた声で言ってきたのはクラスの女の子。
それに便乗してか他の女の子達も「行こう」と嬉々として誘ってくる ――その瞳はキラキラと輝きしかもハートが浮かんでいた。
「よ〜し行くぞ〜〜♪」と悪友の声と共にみんなは歩き出し、兇はそれに逆らえずされるがままに腕を引かれて行った。
結局、みんなの強引さに負けて何も言い出せないでいるのだ。
そして言えない原因はもうひとつ ――ちらりと目だけで横を見ると。
『彼女』がみんなと一緒になって自分の腕を引いていた
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