辺り一面真っ暗な闇
淀んだ空気にひんやりと肌寒いここは、おどろおどろしいレトロな『お化け屋敷』
入った先では男女の悲痛な叫び声が時折聞こえてきた。
「キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ガシャ〜ン・・・・・
天まで届く盛大な悲鳴のあとに何かにぶつかり転んだような音が『お化け屋敷』に響いた。
「だ、大丈夫?」
「だ、ダイジョウぶ・・・・て・・・イヤ〜〜〜キャ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
慌てて駆け寄る青年に少女は涙を浮かべた顔を上げた次の瞬間、声にならない声をあげた。
ガタガタと震える少女の視線の先にある青年の後ろには、作り物だとわかるほどの出来の悪い幽霊の人形がぶら下がっていたのだ。
「だから言ったのに・・・」
兇はあきれ顔で呟きながら、完全に腰の抜けた北斗を立たせてやる。
「ご、ごめん」
北斗はシュンとうな垂れながら兇の腕に掴まったまま申し訳なさそうに謝った。
「だいぶ進んだけど、みんないないな・・・」
そう言いながら辺りを見回す兇に、北斗もつられて辺りを見回す。
悲鳴をあげながら走って逃げていく北斗を追いかけたお陰で『お化け屋敷」をだいぶ進んだはずなのに、一向に光一たちと合流することができずにいた。
怪訝に思っている兇の横で北斗が「あっ」と小さな声をあげた。
振り向くと北斗はある場所を指差していた。
「ほら、あそこに人がいるよ!こっち呼んでる!きっと光一君達だよ♪」
途端に元気を取り戻した北斗は兇の腕からするりと離れたかと思うと、先ほど指差した場所へと走り出す。
「あ、那乃瀬さん待って!そこは・・・」
兇の静止も聞こえないのか北斗は走っていってしまった。
まずい、あの先は・・・・
慌てる兇の表情には焦燥の色が見て取れた。
北斗が走って行ったその先には――――――
青白い人魂があった。
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