コツーン コツーン、、、、、
辺りに響くのは自分の足音だけ。
手に持った懐中電灯で前を照らすが辺りに人の気配は無い。
地下であるそこは、昼間だというのに日も当たらず真っ暗で電気も点いていない。
頭上では、部活動に勤しむ生徒達のかけ声や笑い声などが聞こえてきた。
向かう場所は、何の目的の為に作られたのか旧校舎の地下にある特別教室である。
しかも、ここは何年も前に閉鎖されており生徒はおろか先生までも、ほとんど立ち寄ることが無い忘れられた場所だった。
「しっかし、先生も何考えてるんだか・・・・こんな所で授業やるなよ」
色素の薄い髪と瞳を持つ青年は、嘆息しながら愚痴る。
しかも休日、日曜日の昼最中から『恐怖のお化け体験授業』と称して我が担任は可愛い生徒達とこんな所で授業しようとするのだからその神経を疑ってしまう。
そして、それに疑問を浮かべず生徒達も「面白そう」という理由だけでその話に乗ったのだ。
何考えてるんだか・・・・・
呆れてものが言えないとはこういう事を言うのだろう、馬鹿馬鹿し過ぎてサボろうとしていたのだが、つい来てしまった。
まあ、ここは曰く付きの場所だと言うのもその理由の一つなのだが。
昔からこういう場所には噂が絶えない、『幽霊騒ぎ』や『自殺の名所』など噂は様々だが・・・・。
それが噂だけならまだいいのだが、残念な事に噂だけではないのだここは。
目の前を通り過ぎたモノに視線を送りながら、また溜息を吐いた。
≪back NOVEL TOP next≫