薄暗い街頭の下、テクテクと歩く大小の影。
一人は長身の男性 ――兇―― と、もう一人は小柄な女性 ――北斗―― である。
北斗の住まいは、最寄の駅から離れた場所にある。
都心にわりと近い場所なのだが、駅から離れると急に人通りが少なくなる。
しかも、塀や電柱には”チカン注意”の看板がやたらと多く目立ち、女性が夜一人で歩くには少々危険を伴う場所でもあった。
「那々瀬さんの家ってこの近くなんだ。」
「え、実家はここじゃないけど・・・てここにも何かあるの?」
突然ふられた会話に北斗が、恐る恐る聞き返してきた。
「いや、そう言うわけじゃないけど・・・て、まだ気にしてたの?」
兇の言葉に一瞬キョトンとする北斗、しかし、みるみるうちにその表情は変化していき・・・・。
「ま、まさか嘘だったのあれ〜〜〜!!」
「え? あ〜〜公園のこと?冗談に決まってるじゃん」
顔を赤くさせ眉を吊り上げ聞いてきた北斗に、悪びれもなくしれっと答える。
「な、な、な、な」
「ん?」
騙されていたと気づき、言葉も出ずに口をパクパクさせている北斗の顔を覗き込む兇の表情は、殴ってやりたくなるほどの爽やかな笑みを湛えていた。
なんてやつ!!
自分をからかって楽しんでいる兇に対し、とうとう怒りが爆発した。
ぴたりと足を止める北斗。
「ここで結構です!今日はありがとう、でももう大丈夫だから、それじゃおやすみ!!」
「え、あ、ちょっと待っ・・・」
一息でそう告げると兇の言葉を無視し、靴音を響かせながら早足で歩いて行ってしまった。
「やり過ぎたか・・・・」
暗い夜道へ消えていった北斗の後姿を見送りながら、兇はポツリと呟き深い深い溜息を吐いた。
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